113. 狂言誘拐

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狂言誘拐


 6 番9 11番12番。

 自分に酔って酔って二日酔いの頭で、
 及第点の天才どもが二面性を逆撫さかなで。
 面の皮の分厚さが一人前の指標なら、
 代謝のいい私に立場なんてなかった。

 20番22番26番32番。

 新宿を望める高層ビルに、
 プライドの高さを見出した。
 奥ゆかしさの背中を押すも、
 自殺幇助ほうじょには遠く及ばず。

 50番53番55番58番。

 何往復もした東横の車窓から、
 同一性を裂く河川に身投げする。
 高校生の時分に立ちはだかった、
 小粋な地縛霊は笑って失望した。

 60番61番62番70番。

 平均への回帰にとらわれた才能。
 最寄り駅で吐瀉としゃした迎合のハイボール。
 昇華に至らなかった薄汚れた走り書き。
 先延ばしにした誕生日の利他。

 71番72番77番80番。

「同一性なんか八つ裂きにしちまえよ」

 93番94番99番103番。


 悪いけど詩代金しのしろきん250円の、
 狂言誘拐として24をさらうよ。


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