135. 黙れ、恙あれ、幸なかれ

===================


黙れ、つつがあれ、幸なかれ


 空洟からばなを吸い込む健康体は黙れ。

 長崎の断崖でかたきの肩を押すように、
 怪力で抽斗ひきだしを閉める掌に てのひら 恙あれ。

 全身をゆだねる気は毛頭ないまま、
 一分一秒の用なしを惜しみながら、
 斜方投射の腕を上げる君に幸なかれ。


 溜息ためいきべにを差す健康体は黙れ。

 いただかざる天から雷を落とすように、
 喧々けんけんとタイプする中指に恙あれ。

 等身大をさらす気は毛頭ないまま、
 高らかにルッキズムをそしりながら、
 パスカルとちぎりを結ぶ君に幸なかれ。


===================

コメント

タイトルとURLをコピーしました