66. 二月上旬、朽ち、無益

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二月上旬、朽ち、無益


 鮨詰すしづめの騒がしいバスに乗って、
 誰も知らない目的地へ向かう。

 話を振ってきた教授に向かって、
 引きった微笑みで返答する。

 辿たどり着いた宿屋には旧友がいた。

 小学生の時分に漫画をいていた、
 彼女は仕事で新聞記事を書いていた。

 手掛けた記事は大切にとってあり、
 それを誇らしげに指して見せた。

 ラウンジにアイドルの男がいた。

 主役を任された医療ドラマが、
 明朝に再放送されるらしい。

 あまりに急な話ではあったが、
 テレビ欄は書き直すらしい。

 もう遅いから寝床に入ろうと、
 割り振られていた部屋へ向かう。

 迷うことなく布団に向かって、
 眠り込んで朝が来て目を覚ます。

 足を向けていた大きな窓では、
 薄手のカーテンが風に震え出す。

 窓の外で蠢動しゅんどうする何かを見た、
 私は怖くなって天井を見た。

 滑稽なことに屋根はなく、
 腐り切ったはりの残骸がある。

 その先を飛び交うからすの一味が、
 私の部屋への侵入を試みた。

 彼らに朝食を分け与えるのが、
 この宿の習わしであると悟った。

 同時に寝過ごしたことに気づいた。

 部屋を後にしてラウンジに入る。

 機嫌を損ねたアイドルがいる。

 横には平謝りする小学生がいる。

 再放送を見逃したことに気づいた。


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