10. 十月上旬、醜く、続々

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十月上旬、醜く、続々


 立ち寄った駅の地下が騒がしい。
 どうやらドラマの撮影中らしい。

 亡くなったはずの俳優と、
 それを取り巻く有象無象。

 周囲の黄色い歓声を意に介さず、
 薄気味悪い広大な空間を見渡す。


 生ける屍が しかばね 湧いて出そうだ。


 そう思った途端に無数の影が、
 遠くからぞろぞろ現れた。

 周知の言説を蹴散らすが如ごとく、
 全速力で迫って民たみを殺す。

 九死に一生を得たらしい私は、
 荒廃した住宅街を漫そぞろ歩いた。

 襲いかかる演技を衒ひけらかす、
 我がが残る屍には遊び心がある。

 そうと判わかって初めて縁取ふちどる、
 普遍集合は草臥くたびれた叫喚地獄。


 誰かが望んだ世界だろうか。


 意味深な考察を加える暇もなく、
 どこかの家庭でちびっ子が泣く。

 その家族の皆が握った手。
 食堂の券売機に首ったけ。

 唐突な着信音が心臓を射貫いぬいて、
 何もかも嘘だって早く気づいて。


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