65. 勝てば私たち、負ければ彼ら

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勝てば私たち、負ければ彼ら


　快挙快挙とニュースが騒げば、
　ハイに誘いざなうマイブームの気配。

　当事者の努力は計り知れない。

　込み入った神経のパスを繋つなぎ、
　反復練習で迂回路うかいろを蹴散らし、
　無双しないと口説けない女神。

　その結実は他人ひとの物じゃない。

　それでも群がる飢えた野蛮人。

　奴らの望みは少しの気晴らし、
　それか急拵え　きゅうごしら　のＥＳの趣味欄。
　何より厄介な栄光浴えいこうよくの半狂乱。


　勝って目立ったら母校の誇り。
　その先に聳そびえ立つ日本の誇り。

　負けが続いたら関心は薄らぎ、
　終しまいには我関せずの一点張り。


　努力の定義を終わらせた後に、
　代理戦争で勝ち得たコロニー。
　真剣と縁のない全身が無防備。

　利に聡さとい黒幕は構いやしない。

　誰一人そこに悪意を残さない。

　篩ふるいに掛けるための冷却期間に、
　直向ひたむきな当事者は絶えず戦い、
　投げ出し屋の部外者は戦力外。

　やがて漂うマイブームの気配。

　ほらまた欲求不満な間抜けが、
　体ていのいいドラッグに溺れてら。


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