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二月上旬、朽ち、無益
鮨詰めの騒がしいバスに乗って、
誰も知らない目的地へ向かう。
話を振ってきた教授に向かって、
引き攣った微笑みで返答する。
辿り着いた宿屋には旧友がいた。
小学生の時分に漫画を描いていた、
彼女は仕事で新聞記事を書いていた。
手掛けた記事は大切にとってあり、
それを誇らしげに指して見せた。
ラウンジにアイドルの男がいた。
主役を任された医療ドラマが、
明朝に再放送されるらしい。
あまりに急な話ではあったが、
テレビ欄は書き直すらしい。
もう遅いから寝床に入ろうと、
割り振られていた部屋へ向かう。
迷うことなく布団に向かって、
眠り込んで朝が来て目を覚ます。
足を向けていた大きな窓では、
薄手のカーテンが風に震え出す。
窓の外で蠢動する何かを見た、
私は怖くなって天井を見た。
滑稽なことに屋根はなく、
腐り切った梁の残骸がある。
その先を飛び交う烏の一味が、
私の部屋への侵入を試みた。
彼らに朝食を分け与えるのが、
この宿の習わしであると悟った。
同時に寝過ごしたことに気づいた。
部屋を後にしてラウンジに入る。
機嫌を損ねたアイドルがいる。
横には平謝りする小学生がいる。
再放送を見逃したことに気づいた。
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