==================== 金縛り返り 内腿の痒みに強いられた五時起き。 事態を受け止めて腕を伸ばす。 舟を漕ぐような音がした。 ベッドが軋む音ではなかった。 近づいてくる、近づいてくる。 足下の白い壁に靄が掛かった。 途端に酷い耳鳴りがした。 第一波は十秒くらい。 強制的に薄目が開く。 何も見えない、何も見えない。 第二波は十秒もかからなかった。 何も見えない、何も見えない。 第三波は右腕を掴む。 怖くない、怖くない。 第四波、脳下垂体がツンと冷たい。 身体が浮上する。 天井を透過する。 これはもう戻れないかもしれない。 八時前に落ちた二度寝にお仕置き。 期待を裏切られて目を覚ます。 ====================
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