57. 餌薬の餌食

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餌薬じやくの餌食


 怪気炎かいきえんを上げるインフルエンサーが、
 生活苦と贅沢苦ぜいたくくを履き違えた僕らに、
 本日も美味うまそうな餌をちらつかせる。

 運命の皮をかぶった確証バイアスには、
 マンネリ化のきざしを感じ取る僕らも、
 その餌に仕込まれた針に気づけない。


 それもそのはずせいに費やせる金銭は、
 皮膚科と薬局で支払う負の維持費に、

 清潔感の安い演出に費やせる時間は、
 もすがら裏切られた湿疹しっしんのケアに、

 蕩尽とうじんして一向に差が埋まらないのだ。


 無駄な努力には無駄に慣れているが、
 所詮は温室育ちの繊弱せんじゃくな僕らだから、
 最小限のリスクで小腹を満たしたい。

 だから僕らは徒労の才をふるいながら、
 温々ぬくぬくとしたビニールハウスの片隅で、
 本日も熟れる確証のない餌をらう。


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