38. 無意義な一夜

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無意義な一夜


 惰眠の誘惑に負けた日曜を葬って、
 月曜未明、惰性でくうをカットする。

 淡いブルーライトで左眼ひだりめを焼けば、
 R15のグロテスクなワンシーンも、
 暗順応あんじゅんのうに狂う右眼がぼかしてくれる。

 懊悩おうのうのベッドにヒーローは来ない。
 現実逃避なんて何時間も続かない。


 不意に飛来するマイクロスリープ。

 誰かに大声で怒鳴られて目覚める。
 反省の色はなく大きな溜息ためいきく。

 詩になる夢なんて滅多に見れない。
 それなのに逆らいたくて仕方ない。


 意図的に落ちるマイクロスリープ。

 ひぐらしの声真似をするツクツクボウシ。
 悪口に花を咲かせるスーツ姿の男。

 追いかけ続けるのにも疲れてきて、
 いつの間にか左眼も順応を極めた。


 結局この夜も有意義に終えられず、
 1円の価値もないれたカットの、
 1枚1枚は灰燼かいじんしてしまった。

 そんな無為にすららい付く獣が、
 頭のどこかに潜んでいる気がする。

 仕様がないから不可視なそいつが、
 この月曜だけでも長らえることを、
 静かに祈って午前4時を迎えよう。


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