98. 雑談に一縷

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雑談に一縷いちる


 天に跼っ せぐくま て歩くことに慣れた、
 見飽きた世界に悪友が立った。

 話す気のなかったことをしたたか話した。
 鬱々とした味気ない吐露のはずが、
 沸々とした大成への渇望に帰結した。

 和らぐ気のなかった表情が和らいだ。
 気の抜けた絶縁の無表情のはずが、
 新しい肩書きと破顔一笑に帰結した。

 能弁に見えて自信はなかった。
 ただ昨今の病を忘れたかった。


 悪友ママいわく、芸術家たる者、
 死にそうなくらいが丁度いい。


 真っ当な生き方に反旗を翻し、
 的を射た言いぐさに歓喜の返し。

 図らずも飛来した将来展望が、
 短針がゆがむほど狂い咲こうが、
 タワーマンションの太陽光は、
 与太よたかすなと叱咤怒号しったどごうか。

 その圧にひるんだ訳ではないが、
 余熱を残したまま駅で別れた。


 暇を潰し合って学んだことは、
 何一つとして解は出なくとも、
 伸びる背筋があるということ。


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