47. 惰力で走らす

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惰力だりょくで走らす


 午前午後の転寝うたたねも痩せ衰えてきた頃、
 なだすかす手間のかかる不遜な感情の、
 百鬼夜行を規制するアルバムに酔う。

 小部屋に籠もって両耳をげば、
 じき喧噪けんそうは静まっていくだろう。

 いわゆる健常者には認識されない、
 鋭利な視線とさかしい言葉の狼藉ろうぜきに、
 楯突たてつく手立てはいまだに見出せない。

 殴る蹴るといった簡便な抵抗。
 痛くない振りに涙する無抵抗。

 易々やすやすを蹴散らす弁舌を怪しむ、
 私的な会話さえ心許な こころもと 朴念仁ぼくねんじんは、
 後者を選択して腫れまぶたむしる。

 熱めのシャワーであかを落とせば、
 ちにかゆみは引いていくだろう。

 その前に少しだけジョギングをして、
 想像の中だけでコンサートを開いて、
 すれ違う同志らに声援でも送ろうか。


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