34. 累々

===================


累々るいるい


 嘘をきたくなかったから、
 本当だけで友人をだました。
 虚言を弄さずとも他人は騙せると、
 私はどこで学んだのか。

 誰も傷つけたくなかったから、
 本当の破片で先生を騙した。
 本音を吐かずとも真意は伝わると、
 私は誰に教わったのか。

 責任転嫁なんて浅ましい。

 今夜は本当すら疑わしい。


 全部が全部、私のせいだ。
 善意を数える私のせいだ。

 私のせいで途方もなく迂遠うえんな、
 白々しい罪がまた1つ増えた。

 積もりに積もった罪悪感が、
 狭い天井をい回るから、
 そいつを青白い定規でたたいて、
 ビニール製の落とし穴にめた。

 そのまま窒息しようものなら、
 もはや贖罪しょくざいは叶わないから、
 爪楊枝つまようじで軽くふたつついて、
 明日には逃がそうと心に決めた。

 生殺与奪なんて浅ましい。

 今夜は想像すらわずらわしい。


===================

コメント

タイトルとURLをコピーしました