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累々
嘘を吐きたくなかったから、
本当だけで友人を騙した。
虚言を弄さずとも他人は騙せると、
私はどこで学んだのか。
誰も傷つけたくなかったから、
本当の破片で先生を騙した。
本音を吐かずとも真意は伝わると、
私は誰に教わったのか。
責任転嫁なんて浅ましい。
今夜は本当すら疑わしい。
全部が全部、私のせいだ。
善意を数える私のせいだ。
私のせいで途方もなく迂遠な、
白々しい罪がまた1つ増えた。
積もりに積もった罪悪感が、
狭い天井を這い回るから、
そいつを青白い定規で叩いて、
ビニール製の落とし穴に嵌めた。
そのまま窒息しようものなら、
もはや贖罪は叶わないから、
爪楊枝で軽く蓋を突いて、
明日には逃がそうと心に決めた。
生殺与奪なんて浅ましい。
今夜は想像すら煩わしい。
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