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心悲しき哉
僕を知らなければ朝礼台で、
思いの丈を晒すこともなく、
引っ込み思案のままだった。
そんな彼女が立派になって、
背筋を伸ばして颯爽と歩く。
俺と違うクラスなら教室で、
堂々と発言することもなく、
ずるずると居場所を失った。
そんな彼にも恋人ができて、
並んで仲良く商店街を歩く。
私が素通りしたならビルで、
知人と談笑することもなく、
その身を落とすはずだった。
そんな誰かが今でも笑って、
私のことなど知らずに歩く。
そんな彼らの晴れを想って、
翼を欲しがる天使を望んで、
無駄足を示す正解を恐れて、
余計な空想を随所に添えて。
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