183. 九月中旬、溘ち、藻屑

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九月中旬、たちまち、藻屑もくず


 踝の くるぶし 上まで冠水した路上。
 強面こわもての芸人を追いかけて歩く。

 格式高い小料理屋に導かれた。

 最奥部の座敷席は躊躇ためらわれて、
 引ける気を察知した俳人様。


 路上より浸水した舟の上。
 酔いそうな航海に緊張が走る。

 さらわれる幕切れまで秒読みか。

 柱にすがって吐く哲学的弱音で、
 引くほど弱体化した俳優様。


 水蠆やごや淡水魚を捕まえたくなった。

 反作用で背中から海の方へ落ちる。

 驚愕きょうがくや恐怖より(最悪)が勝った。

 濁流にまれながら秋の日を見る。


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