149. 二月中旬、笑い、面妖

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二月中旬、笑い、面妖


 書店にて音楽家の後ろ姿。

 高校の同窓か大学の同期か、
 参考書をほうって怪しい相談。

 最後に彼は人生をはかまに例えて、
「進むほど広がって美味しくなる」

 言いたいことは皆目わからず、
 愛想笑いさえ強張こわばる始末。


 踊り場にてたむろする莫連ばくれんらは、
 怠絡だるがらみを予告する薄ら笑い。

 外までも追い回す執拗しつようさ。

 番長格が鉄面皮を放り投げて、
 図らずも園児の顔にヒットした。

 青ざめる彼女らに清々して、
 青息吐息に澆薄ぎょうはく事切ことぎれ。


 コンビニに入ったら混雑がひどく、
 どのレジにも行列ができていた。

 物欲を満たすのを早々に諦め、
 どこか懐かしい民家の戸口へ。

 にやけた悪友がラジオを聴いている。

 対外秘を垂れ流した彼のメールで、
 全国民が大爆笑したみたいだ。


 ライブ会場に赴くと混雑が酷く、
 無相関の人の群れができていた。

 百人の参戦者が入場を許され、
 該当する私も揚々と入り口へ。

「このチケットは来週の公演分です」
「交通費が無駄になっちまうな」

 愧笑きしょうするもどこか余裕がにじんでいる。


 旧友の愛車で会場をつ。

 トラスきょうの崩落も造作なく、
 マニュアル通りのUターン。

 けらけら笑いのJターン。


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