140. 十二月下旬、踊り、相克

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十二月下旬、踊り、相克そうこく


 同い育ちの芸人と、
 腐った蜜柑みかんのアップデート。

 十字路で手を振ってお別れして、
 立ち寄った有名な姉妹の家。

 お食事処しょくじどころが併設された、
 生活感のある数階建て。

 その中の一室はマコトの部屋で、
 アププが居座って「お疲れさん」。

 突然の姉妹の入室に気づき、
 彼はジェスチャーで合図を送る。

 意味するところにピンと来る、
 私は構わず気づかない振り。

 それから妹と手を取り合って、
 体が覚えていた即興の乱舞。

 お食事処は教室に変わって、
 たわむれもつかの間、寂寥せきりょうのワープ。

 どの部屋をのぞいても知人がいたが、
 私は廊下でこまぬくばかり。

 終業を後にする騒々しさは、
 機動隊との闘争に早変わり。


 兵戈槍攘へいかそうじょうの舞台は屋上。

 隊員の一人が未来銃を落とす。

 それを拾ったのは紅白の司会者。

 近くにいた盟友に投げ渡した。

 スローモーションになって直感した。

 彼はわざと場外に銃を投じた。

 身を投げてつかみ取るスリンガー。

 仰向けの宙にて引き金を引いた。

 弾丸は横切ったミサイルに当たった。

 爆発の勢いで敵は砂になった。


 遠方の男が振り返るのは、
 私の暗愚を見守る所作。

 今なら聞けると思い立つ、
 甘えも束の間、オールアップ。


 ダヴィデがダヴィデを葬っただけ。

 傷一つないだろう過透明のゴリアテ。


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