139. 危急のプレゼント

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危急のプレゼント


 手が「て」と呼ばれる理由なんて、
 誰から見たって明らかなもんさ。

 イノセンス盛りの洟垂はなたれに対して、
 サンタクロースは襤褸ぼろを出した。


 あれから何度もときった。

「思い出したぞ、少年」


 恐竜図鑑が擦り切れる好奇心!

 けんもほろろに八方美人。

 外柔内剛の世界的名著は、
 内柔外剛の断章と見えた。


 誕生秘話を追究する無限後退!

 いつの間にやら諦め放題。

 彗星すいせいごとく現れた奇言きげんは、
 彗星の如く一瞬で消えた。


 明日あすは我が身の明日なんて、
 誰も意識しちゃいないから、
 昨日の我が身を弔いたくて、
 息も絶え絶え形にしたんだ。

 本棚に馴染まない5×8で、
 行間に固執した妙な体裁で。

 億が一のサインの練習さえ、
 お蔵入りのノートで及第点。


「その意気だぞ、少年」

 あの半走はんそうは我が一走なのだ。


 さよならパラノイア!
  (同一性なんて)一抹の不安。

 今日からプロノイア!
  (同一性なんて)未知の安楽。


 ここ一番だぞ、青年、


 たじたじな両手ますかけ線の、
 応援部隊として危急のプレゼント。


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