28. 十一月上旬、淡く、暗転

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十一月上旬、淡く、暗転


 ポイントは猫に話しかけること。

 坂道を下る何度かの経験から、
 最終課題の攻略法を心得ていた。

 話しかけると地下室に移動して、
 見知った面々に迎え入れられた。

 くすっと読者を笑わせるような、
 こなれた大喜利を求められても、
 自信がなくて苦笑ではぐらかす。

 それでも彼らは非常に寛大で、
 和気藹々わきあいあいと記念写真を数枚。

 帰り道では有名なラッパーが、
 笑顔が素敵だとか何とか言って、
 桃色のメロンパンを土産みやげにくれた。


 ぼんやりしていたら海辺にいた。


 気づけば灰色の海を泳いでいた。


 力尽きて溺れてしまう不安感か、
 人喰ひとくざめに襲われる恐怖感か、
 あるいはその両方にかされて、
 海中の安全地帯に辿たどり着いた。

 そこでは窓から水中がうかがえる。

 窓を背にしてこちらを見ている、
 2人の仲間らしき人影があった。

 逆光で表情がほとんど読めない。

 それなのに極度の不安が伝わった。

 突然、彼らの背後の水色の窓の、
 上の方から赤いもや揺蕩たゆたい始めた。

 それとほぼ同時に、ゆらりゆらりと、
 仲間の1人とおぼしき肉塊が落ちてきた。

 窓の前に立ち尽くしていた影の一方が、
 何かを察知して振り返ろうとしたが、
 私は首を振り、それを止めて近づく。

 首を振り続けてゆっくりと近づく。

 全てを悟って2人は泣き出した。

 私もまた大粒の涙を流しながら、
 2人を抱き寄せ、目を閉じて、
 赤色の窓から3人をかばった。


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