29. 希死の果てを飾れ

===================


希死の果てを飾れ


 どう足掻あがいても死にたくはなる。

 たとえばその欲に従ったとして、
 何よりも高い所から空を飛ぼう。

 耳が千切れんばかりの爆音の中、
 段々と遠くなっていく意識の中、
 私を死なせた思い出たち以外の、
 走馬灯をクラウドに映写しよう。


 どう足掻いても死にたくはなる。

 たとえばその欲に抗ったとして、
 結局いずれは迎えが来るだろう。

 一瞬にも満たない生と死の境を、
 十数分程度にゆがませに歪ませて、
 私の一生がオーケストラとして、
 壮大に奏でられたら報われよう。


 どう足掻いても死にたくはなる。

 従属も抵抗も勝手ならばせめて、

 平凡になり得た朝を盛り上げて、

 フィナーレくらいは美しくあれ。


===================

コメント

タイトルとURLをコピーしました