45. 水底より

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水底みなそこより


 唐突な救いの手を上手につかめず、
 温かいベッドに沈んでしまった。
 沈没というよりは耽溺たんできであった。

 状況と引き金から築き上げたモデル。
 その破壊と創造のせいで脳はとろける。

 映画や小説としてひねり出された架空の人生に身投げする日々は、
 詩集や音楽につなぎ止められた救いようのない緩慢な危機だ。

 万策尽きたと言わせないための虚勢だけで毎日をスワイプして、
 牽強付会けんきょうふかいに終始しないための想定問答集には自戒のR指定。

 手元にあるのは瑣事さじのマシンガンと、
 この心臓だけを狙う弾道ミサイル。
 申し訳程度の何十発の真贋しんがんを見極める暇もなく射出してはいぶかしむ。
 気泡と見紛みまがうほど覚束おぼつかない弾丸と、
 最小限の呼吸で放つ青二才のライム。

 思えば去年も揺れ動く太陽に許しを請わずして浮き草の下、
 希薄な酸素を浪費しないように微動だにせず深泥しんでいに身をした。

 指一本でも動かそうものなら関係者各位の全否定に帰着し、
 手一合ていちごうに絞られた脳細胞は最早ただのBB弾で色調が面映おもはゆい。

 虚構や誤植、策を打ち落とす唐変木とうへんぼく。
 取り損ねた手を貫通した空砲の鉛毒えんどく。

 機能不全のミサイルは動かせず、
 意図的に誤射した言葉があった。
 逃避などではなく忌避であった。


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