3. 秋曇の彼方

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秋曇あきぐもり彼方あなた


 百編にも満たない乱心の語りを、
 外界に放とうと決意した私を、
 読書や芸術、スポーツを好む、
 ぎがちな彼がささやかに言祝ことほぐ。

 きっと素直になれないながら、
 飛び出した勇気には鈴虫の声を、
 飛び続ける大志には涼しい風を、
 ひそかに送りつけるという腹だ。

 感情表現に事欠く彼の人柄は、
 長い付き合いで心得ているから、
 不機嫌に見える表情の内側に、
 ほんのり揺れる情味がたまらない。

 散財と出し惜しみの緩衝地帯で、
 空を待つ私は人知れずそっと、
 いつかうたう手が止まっても、と、
 謳う百までの予定調和を秋へ。


 そういうことだけど伝わったかい。

 私の腹が読めたらお返事を下さい。


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