=================== 秋曇の彼方 百編にも満たない乱心の語りを、 外界に放とうと決意した私を、 読書や芸術、スポーツを好む、 塞ぎがちな彼が細やかに言祝ぐ。 きっと素直になれないながら、 飛び出した勇気には鈴虫の声を、 飛び続ける大志には涼しい風を、 密かに送りつけるという腹だ。 感情表現に事欠く彼の人柄は、 長い付き合いで心得ているから、 不機嫌に見える表情の内側に、 ほんのり揺れる情味が堪らない。 散財と出し惜しみの緩衝地帯で、 空を待つ私は人知れずそっと、 いつか謳う手が止まっても、と、 謳う百までの予定調和を秋へ。 そういうことだけど伝わったかい。 私の腹が読めたらお返事を下さい。 ===================
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