4. 相対的剥奪を経て

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相対的剥奪を経て


 十五、六で王道からはじかれた私は、
 それなりに恵まれた環境において、
 生きるか死ぬかの断崖ふちに立ち、
 阿呆面あほうづらで群がる野次馬をにらみつけ、
 ただれ切った体を明日あすに放り投げた。

 十九にしてようやく漂着した水際みぎわ。
 それなりに恵まれた環境において、
 やるかやらないかの分岐点に立ち、
 ぬるま湯に入り浸る健常者に対し、
 疲れ切った心を日記にじ込んだ。

 二十三で踏み入った理知的な集い。
 それなりに恵まれた環境において、
 できるかできないかの目測を誤り、
 画面越しになぶられる孺に ちのみご 成り果て、
 やつれ切った己を揺籃ようらんに閉じ込めた。


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