155. 三月下旬、縒り、遡及

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三月下旬、り、遡及そきゅう


 ゲートを通るには認可が必要で、
 3人のうち私だけが止められた。

 2人は私を哀れんでいるようで、
 恥や後ろめたさが思い出された。

 仕方なく守衛に見せる個人番号。

 首相だった元締めの法外な賄賂。

「どうせ夢だから払う必要ないか」

 確信して行き着いた宿舎の3階。

 消えせてほしかったお隣さん。


 全部が嫌になって転がったのは、
 同い年の俳優と覚えのない誰か。

 雛霰ひなあられいたのが悪かったのか、
 今は亡き旧校舎に呼び出された。

 ボッチャに優れた車椅子の彼女。

 逆さまの親指の意味は最高難度。

「注意が鳥たちにれてよかった」

 安心して向き合った往年の相方。

 仲直りしてほしかった鸚鵡おうむからす。 


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