133. 十一月下旬、添い、急転

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十一月下旬、添い、急転


 そのグラウンドは屋上にあった。

 生者せいじゃか死者かを見分ける手段は、
 サッカーボールを蹴れるか否か。

 ボールがとおって落胆している、
 哀れなメンバーを励ましていたら、
 私を置いて皆がいなくなった。

 電子書籍にペンで書き込みをしよう。

 隣に現れた人も同様でご満悦。

 数分か数時間で皆が戻った。

「柵を開ける鍵は誰が持ってる」

 私が手を挙げて名乗り出る。

 タッチペンを鍵穴に突き刺して、
 2回ほど押し込んだら解錠の明滅。

 怪しい車に乗っていた男が、
 突として皆に襲いかかってくる。

 私は真っ先に頭を殴られた。

 ある人は半狂乱で逃げ回って、
 ある人は螺旋状らせんじょうに引き裂かれた。


 重要な会議が風呂場で開かれた。

 3つの基本理念が定められたが、
 予習していた私は物言わぬまま。

 議長のディナーを調達すべく、
 コンビニで3品ほど万引きしたら、
 罪悪感で涙が出そうになった。

 ある者が提案した作戦が効いたよう。

 私以外の全員が彼を称賛する。

 代金を支払いに店に戻った。

「最重要はユーザビリティです」

 2つ目の理念が名乗り出る。

 ふと高校の同級生に出くわして、
 たわむれに追従ついじゅうして階段を降りていく。

 窓の向こう側の湖のような、
 夕景色ゆうげしきに2人は押し黙っている。

 ポリ袋から頭が落とされた。

 蛍光グリーンの重石おもしになって、
 通り魔は地面にたたき落とされた。


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