44. 青松落色

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青松落色
せいしょうらくしょく


 夕闇と換気扇に心を許したとき、
 人としてもう終わりだと思った。
 
 抱き枕と扇風機に色を見たとき、
 友達なんていないんだと悟った。
 
 どうしようもなく孤独な今こそ、
 どんなが恋しいか知るべきか。
 
 会いたい、話したい、笑いたい。
 
 何もかも全て叶わないみたいで、
 頼るのはめようと決意を固め、
 降り積もるメールもそのままに、
 新しい自分と話し込んでいたら、
 他人との道義はもう衰えていた。
 
 笑えても、会えない、話せない。

 辞典のページをり続けるのは、
 人として生きた証拠を残すため。
 
 そうした証拠を残し続けるのは、
 かすんでいく彼らの影を守るため。
 
 どうしようもなく孤独な今こそ、
 そんな因果があってしかるべきだ。


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