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十一月上旬、淡く、暗転
ポイントは猫に話しかけること。
坂道を下る何度かの経験から、
最終課題の攻略法を心得ていた。
話しかけると地下室に移動して、
見知った面々に迎え入れられた。
くすっと読者を笑わせるような、
熟れた大喜利を求められても、
自信がなくて苦笑ではぐらかす。
それでも彼らは非常に寛大で、
和気藹々と記念写真を数枚。
帰り道では有名なラッパーが、
笑顔が素敵だとか何とか言って、
桃色のメロンパンを土産にくれた。
ぼんやりしていたら海辺にいた。
気づけば灰色の海を泳いでいた。
力尽きて溺れてしまう不安感か、
人喰い鮫に襲われる恐怖感か、
あるいはその両方に急かされて、
海中の安全地帯に辿り着いた。
そこでは窓から水中が窺える。
窓を背にしてこちらを見ている、
2人の仲間らしき人影があった。
逆光で表情がほとんど読めない。
それなのに極度の不安が伝わった。
突然、彼らの背後の水色の窓の、
上の方から赤い靄が揺蕩い始めた。
それとほぼ同時に、ゆらりゆらりと、
仲間の1人と思しき肉塊が落ちてきた。
窓の前に立ち尽くしていた影の一方が、
何かを察知して振り返ろうとしたが、
私は首を振り、それを止めて近づく。
首を振り続けてゆっくりと近づく。
全てを悟って2人は泣き出した。
私もまた大粒の涙を流しながら、
2人を抱き寄せ、目を閉じて、
赤色の窓から3人を庇った。
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