129. レトリカル・トリック

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レトリカル・トリック


 こいつがやったと指差して、
 告発の歌を唱えた少年。

 いつだって正義は自分にあった。

 50年後には「誠に遺憾」で、
 バグを駆除する中高年。

 誇りは爛々らんらんと「矜持きょうじ」になった。


 待望のタイムトラベルは、
「閉じた時間的曲線」の穴場で、
 奇異な数式を組み込んだ。

 わかってくれる人は少なくなった。

 誰も注意を向けなくなった。


 気休めの頑張ったで賞は、
「プロセスエコノミー」様様で、
 権力者の駒を売り込んだ。

 急進的ノーマルに息が詰まった。

 むかつきが苦痛で目をらした。


 何かが上手になっただけ。

 使える道具が増えただけ。

 タネも仕掛けもございません。

 おおよそ中身もございません。


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