88. 春風に不釣り合い

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春風に不釣り合い


 パンデミックの横行闊歩おうこうかっぽ。

 おめでたい席を蹴り上げて、
 白昼堂々、横行闊歩。

 いくつかのストレッサーがついえた。
 まるで私の味方のようだ。
 スマホに速報が届くたび、
 不謹慎な感情が不気味に微笑んだ。

 華やかな思い出が強奪された。
 まるで誰かの悪夢のようだ。
 手の届かない幸先さいさきに向かって、
 泣き笑うだけの空虚なピエタ。

 許される嘘をく暇もない。
 いまだに東風こちほほでない。

 もう戻れやしない。
 何もかも実らない。
 休日はいつもはかない。


 アカデミックの横行闊歩。

 鮮やかな画素の集合として、
 連日連夜、横行闊歩。

 久々に論文を読んでみた。
 土曜に1本、日曜に2本、
 アナログで1本、デジタルで2本。
 好奇心が重い腰をお上げになった。

 新学期の時間割を組んでみた。
 2単位を6つ、1単位を2つ、
 0単位を3つ、秒単位の嗚咽おえつ。
 シラバスが腸を はらわた 溶かしやがった。

 流行歌に聴き入る暇もない。
 未だに東風は頬を撫でない。

 もう戻れやしない。
 何もかも至らない。
 情熱はいつも儚い。


 真新しい自分との殴り合い。

 延長戦後に流離さすらう死骸。

 春風に不釣り合い。


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