92. 殿様蛙の子供らよ

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殿様蛙とのさまがえるの子供らよ


 うじゃうじゃ黒い影が動いていた。

 卒業証書をくるくる丸めて、
 水田に突き刺して与えた試練。

 抜き差しを何度か繰り返せば、
 わきまえる前にとどめを刺せそう。

 もっと細い管を、もっとたくさん。

 会社併設のカフェのストローを、
 妥協の数だけ盗み出して成敗。

 小さな小さな影の群れは依然、
 押し合いし合いの背比べ。

 優位に立った数匹は底を見ていた。


 身体からだだけが順調に成長を遂げた、
 殿様が固有のルーティンをこなせば、
 プラスチックの井の中に辟易へきえきする、
 雨蛙は空の青さを知ったかぶる。


 溜池ためいけを大海と思い込んで泳ぐ。

 生態系なんてシンプルだとうたった。

 意に反する友人愛に論理がほころぶ。

 全てを手放す覚悟で脅威にほざいた。


 一時しのぎの積み重ねで行き着いた、
 主観的には澄んでいるその新世界が、
 一昔前の泥濘ぬかるんだスタート地点だと、
 気づいて手遅れに絶望しやがれ雑魚ざこ。


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