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第六感の過誤
影響を及ぼせる範囲内において、
優れたスキルが確かにあった。
時間を投資したら賞状が貰えた。
資格にもなった。
お金も貰えた。
これだけなら張り切って適応できた。
自分は有能だと能力を衒い、
大した功徳もなく得意満面で、
「微力ながら」なんて枕詞にできた。
俺には生まれ持った才能があると、
自身の特性を勘違いしたまま、
馬鹿な玄人として幸せになれた。
影響を及ぼせる範囲内において、
痛恨のハンデが確かにあった。
お金を払っても変わらなかった。
人格は変わった。
時間は消えた。
これだけなら割り切って適応できた。
自分は無能だと努力を怠り、
大した功績もなく跼天蹐地で、
「微力ながら」だって素直に使えた。
彼には生まれ持った才能があると、
自身の怠慢を正当化しながら、
馬鹿な玄人の下で幸せになれた。
野卑な第六感が正鵠を射るなら、
極端なスキルと極端なハンデは、
殺し合って均されるはずだった。
悲観主義を遠ざける眉間の皺も、
楽観主義を取り巻く作り笑いも、
殺し合って均されるはずだった。
野卑な第六感が正鵠を射るなら、
極端なスキルと極端なハンデの、
副作用は誤差になるはずだった。
無我夢中になれない無定見やら、
風采が上がらない心腹の疾やら、
副作用は誤差になるはずだった。
重みづけの定数が根本にあって、
ビジネスの変数が山道を穿って、
峰は西日に向かって、螻蟻潰堤。
自暴自棄に浸かって、載籍浩瀚。
観念を退けて経験値だけで傍観。
盾は過剰な一般化、剣は劣等感。
鈍痛には延命措置、幻痛には毒。
空論武装より遥かに増しだろう。
穴を塞いで馬鹿な玄人になろう。
前向きな絶望に熟れたら最後、
どうせ繰り返す第六感の過誤。
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