=================== カクテライズ逆流 (『アンカクテライズ』1/2 ) 期待値の低迷や平均値の邪推を、 やおら覆してカクテルを成した、 代々木のステージから約三百日、 時系列は数日前の雑夢のように、 新しい二秒間を残したくなった。 予習して臨んだアリーナの色は、 今日を過去にする黄昏のライト、 報われなかった春の日のベール、 何度もリピートした風の冷たさ、 二人だけになれなかった淡い炎。 それらを混ぜて有耶無耶にせず、 それぞれの色を味わえるまでに、 聴き込んだ私は変わってしまい、 炭酸の抜けやしない彼女の空は、 未来を暈すには十二分な歌々に。 あの日は響いた自殺者の決意と、 あの日は響いた猟奇的な愛情と、 あの日は響いた青天井の寂寥を、 ショートカットした髪は艶めき、 もう眩し過ぎて近づけやしない。 ===================
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