179. 雨に凭れる

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雨に凭もたれる


 誰にもなれず、
 彼にもなれず、
 数奇すきにも藪やぶの学者にもなれぬ、
 凡愚な頭を持ち、

 毒はなく、
 滅して光らず、
 傷の深化に学んでいる。


 一々に詮ない問答と、
 綺語のつもりの課題を投げ、

 荒ぶる音を、
 身分を壇上に生けずに、
 即時、詩にし語り、
 そして落屑らくせつ。


 小火ぼやが娯楽の浅いお前の、
 立派な早打ちの法螺ほらに似て、

 妄みだりに病気のことを吐けば、
 聞いて感動してやり、

 罅ひびに好かれた肌あれば、
 引いて呪い手の多寡を問い、

 終しまいに散りそうな自己あれば、
 輪廻りんねを嗤わらわなくてもいいと言い、

 痛い怨嗟えんさや虚妄きょもうがあれば、
 埋まらないまま耐えろと言い。


 熾盛しせい、この血は怠惰を囃はやし、
 枕の滓かすは心を嬲なぶり、

 静かに照る曙光しょこうを淘よなげ、
 染められもせず、
 朱にもなれず。


 向秋の折、
 まだ血が足りない。


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