=================== 跡白波 去年一年分の大航海を、 この一ヶ月で成し遂げた。 月は長くて日は短いと、 失う前から感知していた。 最初は波に酔ったものの、 意外と風が心地よくて、 不意の飛沫も刺激的で、 何なら雨さえ楽しくて、 最後は強か残った空っぽ。 終始「それじゃあ」の一言に、 勇気を出してはメランコリー。 右肩に掛かった翡翠の髪状は、 好奇心の感嘆と同等の長さだ。 跡形もなくなればよかったのに。 見向きもされない泡沫みたいに。 跡形もなくなればよかったのに。 一日で消去される動画みたいに。 「もう無理かもね」 かけ離れた虹霓。 「どうせ報われねえ」 繋がらない点と点。 両月丘で押さえつけた両眼。 (止まれ止まれ止まれ止まれ) 火星平原はキャパオーバー。 (((( ( ) )))) 風光明媚な両手首の大河に、 今に干上がるだろう跡白波。 ===================
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