=================== 鈍痛 プールに入る前のシャワーの冷たさ、 それくらいが地獄だった幼少期から、 短期間に呆れるほどの苦難を見たが、 さて今は何番目のステージだろうか。 肉体を散らすようにデザインされた、 およそ神の御業とは思えない試練は、 終には精神の自傷行為にまで拗れた。 胸を締めつけるために音楽を聴いて、 素顔を知るためにアトピーを書いて、 瞬間瞬間の思い出殺しを繰り返して、 さて今は何番目のステージだろうか。 気鋭のシンガーソングライターにも、 大層な新人賞を取った若手俳優にも、 容易く靡いてしまう自分勝手な理想。 玉になどしてくれなかった艱難ども、 賢くなどしてくれなかった逆境ども、 後腐れのない別れなどは慣れたもの。 この苦心が第何波の回り道だろうが、 大きく手を振って見送った記憶より、 見送られた記憶の方が鮮やかなのは、 無二の仕合せにしてずっしりと痛い。 ===================
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