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合併症
生まれたてを包むパステルカラーが、
いつの間にやらモノクロに変わった。
どうやら目の病気ではないらしい。
ただ病魔は希望に目がないらしい。
勇んで職探しの一歩を踏み出し、
煩瑣な要請にぶつかって勇み足。
また少し彩度が蝕まれてしまう。
同時にトラウマが暴れてしまう。
いずれ何らかの病気だろうが、
相殺できる像を探し出そうか。
健常で果てる勝機はあろうが、
これも化ければ病因だろうか。
いずれ何らかの病気だろうが、
相応しい誤診は健在だろうか。
努力の延長に水を差す病気。
信用が利用に意訳される病気。
傍観した雑踏に息が詰まる病気。
整わない一行に四苦八苦する病気。
よく晴れた日曜に死にたくなる病気。
古傷を抉るように夜ごと歌を漁る病気。
過敏な神経を高い感受性と誤認して、
無闇に誤魔化して抗うだけの人生。
その手の無駄骨に同情したのか、
偉い人が頑張って名称を与えた。
解読不能なアルファベットやら、
規則的な交ぜ書きの用語やら。
病名が付いたら安心できるか、
症例に沿った佞臣ができるか。
勝手に験された誰かの病に、
勝ち目だらけの疚しい病に、
甘い蜜を吸わせる厭離穢土。
もはや自死さえ病死でよい。
一方の私は恙なく湿気った、
色褪せない腫れ瞼の被験体。
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