196. 十二月中旬、広く、足労

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十二月中旬、広く、足労


 いわく付きの宿屋。
 蜘蛛くもに手をまれた。


 空港に向かってバスが走る。

 講座コンプリートが遠出する資格。

 乗車後に気づいた「二つ足りない」。

 受付は案の定、にべもない。

 部活が一緒だった同級の面々。
 クリアして皆で飛び立つとのこと。

 ライオンはお気楽に本を選んで、
 アヒルは垢抜あかぬけて所作がスマート。

 PCルームにて補講か何か。

 自動車学校のそれにも似た、
 図形を使った適性検査。

 自分を除いて受検者は一人、
 スクリーンに夢中な奇人のみ。

 画面は頻繁にフリーズして、
 何回も一からやり直した。

 数週間スケールの遅れは必至か。

 引き返す一切が面倒でやれやれ。

 そんなことを思った。

 思っても無駄。


 今は二階建て、神楽坂のカフェ。
 フラットな邦人と米人のたわむれ。


 暗い森の小川で女性たちが死んだ。

 自殺に見せかけて首を絞められ、

 どういう理屈か、

 溯上そじょうした。

 現場近辺に家を持つおうな。
 話して直感「この人だろうな」。

 七十度クラスの崖を横目に、
 背中を許したら、たかいたかい。

 放り投げられるも九死一生。
 視認した嫗は怒り心頭。

 猟銃で狙われ、町まで追われる。
 行き違う警官が時間を稼ぐ。

 彼はきっと駄目だ。
 撃てないから。

 カラオケに逃げよう。

 マイクを構えろ。

 不安になる所以ゆえんの、
 壁−路地のコネクト。

 スマホで調べた「神奈川 殺人」。

 それらしいニュースはヒットしない。

 おびえながら帰るとパトカーが二台。

 歌っている間に捕まったらしい。


 同期が絵付けする東京タワー。

 五四一三八円は高い。


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